私は高校卒業後、二年間浪人生として壺溪塾に通いました。その頃の私が抱えていたものは恐怖でした。将来の目標がまだ明確でなく、自分の適性が分からないにもかかわらず進路選択を迫られている恐怖です。加えて周りの友人はすでに目標を決めているのに自分は決まっていないという焦燥感。ここでの選択によって将来の可能性が狭まるのではないか、と今思えば要らぬ心配をしていました。当たり前ですが、何事もやってみなければ可能性なんて分かりません。私は今大学で情報工学を学んでおり、これが自分に向いているのかは正直まだ分かりません。しかし非常に将来性のある分野なので、いつか世の中の役に立つであろう武器を身につけている楽しさを感じながら勉強しています。
壺溪塾での一番の収穫は先生方との出会いです。予備校とは受験に受かるための助言しかしてくれないところだと思っていたのですが、木庭塾長や吉本先生をはじめとする先生方とお話をしていくうちに、大学入学後のビジョンを漠然と描くことができました。先生方のサポートのおかげで無事大学に合格でき、大学に入ったら目標を見つける前にとにかく行動しようと決めました。最近のアクションはというと、今年の2月に、以前から挑戦したかった海外留学に行きました。渡航先はマレーシアで、2週間という短い期間ではありましたが、初めての海外でとても刺激的な体験ができました。マレーシアは多民族国家で、私が出会ったのはマレー系と中華系の学生です。マレー系の学生はみなさんイスラム教徒で、それまでイスラム教というとルールが厳しく何となくお堅い印象を持っていたのですが、実際交流してみるととてもフランクで、いわゆる陽キャな人ばかりでした。こういうことは日本ではなかなか得られない知見だと思うので本当に行ってよかったと思っています。また、現地語と英語を自在に操り、さらに各民族の母国語をも話せるという彼らの言語能力の高さにも驚きました。(独学で日本語を習得したという強者もいました。)英語学習へのモチベーションも上げて帰国しました。
今はプログラミングと英語学習に力を入れて取り組んでいます。今年度からブロックチェーン技術の勉強会にも参加しており、日々研鑽を積んでいます。これまで名前しか知らなかったブロックチェーンですが、そのはじまりは2008年に正体不明の人物サトシ・ナカモトがネット上で発表した論文によってその技術が世界中に広まったという、まるでSF映画の序章のような誕生秘話でわくわくしました。
映画といえば、最後に余談ですが、題名の「いまを生きる」は高校時代の恩師に教えてもらった映画のタイトルから拝借したもので、文章の内容にも合っていると思い付けました。心に響く良い映画なのでぜひ観てみてください。