壺溪塾

わたしを語る

~熊本日日新聞読者のひろばに掲載~

第35回 壺溪塾名物「エンドレス授業」

「東大・京大数学エンドレス」の授業風景

壺溪塾で塾生からもっとも支持されている授業の一つに“エンドレス”がある。これは自主性を重んじる壺溪塾らしく、塾生から始まり、塾生が名付けた授業だ。今からおよそ20年前に東大文系クラスの担任だった竹島加奈子・現壺溪塾企画本部長が理系クラスの担任上野雄一朗・数学講師に「文系クラスの中で数学が分からなくて不安という子がいますが、答案を見てもらえませんか」と頼んだ。上野先生はそれなら、と週に1回、一番遅い時限の7限(18時半)から閉門まで残り、ボランティアで答案チェックを始めた。数学に苦手意識を持つ東大文系クラス生に東大レベルの記述式問題を1~2問与える。彼らは自力で解く。答えは決して与えない。解けたら帰宅するが解けなければ閉門まで残る。それでも解けなければ次のその時間までエンドレスに考え続け、解けたら昼休みに設けられたチェックの時間に持って来る。教科書や参考書で調べても良いが、解けるまでは友達同士答えを教え合ってはいけない。エンドレスに続くこの授業を始めた次の年の塾生が「エンドレス」と名付け、以来この東大・京大エンドレスから始まった講座は、九大理系、熊大理系、医進、九大熊大文系と増え、もっとも数学を苦手とする塾生を対象とした共通テスト数学エンドレスにまで発展した。現在は英語も二つのエンドレスがあり、壺溪塾生の数学と英語の学力の伸びに大いに寄与している。

この講座では「答えを教えない」というのがコンセプトであり、支持を受ける理由だ。自力で解く時間は3時間を超え次の日にもずれ込むこともあるが、数学が苦手な塾生ほどそんなに考えた経験はなく、また考えに考え抜くと解ける!ということに気づくのだ。その解けた体験が本番での自信に繋がる。また一人では考え抜くことが難しくても、傍にライバルがいると出来るものだというのも真実だ。切磋琢磨という環境を求めて彼らは一つの教室に集う。さっと解ける仲間もいる。「できるな、おぬし!」というライバル心も掻き立てられ、そこには自律的な教育空間が実現する。

数学が苦手で来た塾生が数学エンドレスを二つも受講し、北海道大学総合理系に合格した例もある。その女子塾生の日誌のコメントを本人の許可を得てパンフレットに紹介している。

塾生の日誌より