12月15日から18日まで熊専各の国際化推進委員の仲間たちと事務局のメンバー、総勢9人で台湾を訪ねました。これは、初回、11月にモンゴル訪問に続く第二弾になります。趣旨は、熊専各が国の国際化推進事業に採択されたのを受けて、熊本に留学生を増やそうというミッションを叶えるためにターゲット国にしている台湾の実情を知り、今後の活動の指針を得ようというものです。熊専各が設定したターゲット国はモンゴルと台湾とミャンマーの三か国です。
今回訪れた台湾は、半導体の世界的メーカーであるTSMCの熊本進出を機に注目を集めている国で、実際、熊本には台湾からの移住者が多くなっています。
今回の訪問で印象的だったのは、台湾はモンゴルと同じように超学歴社会で、大学だけでなく大学院で修士を取り、その先の博士課程で学ぶ人が多いということでした。また台湾では塾に通うのが一般的で、保護者は大学や大学院に入るための塾だけでなくもっとも大事だとされる英会話塾に通わせたいとするのが普通だと知りました。また台湾では高校で日本語を第二外国語として必修で学んでいます。
2500人の中学生と高校生が通うという僑泰高等学校に行き、先生にお話を聞きましたが、やはり大学進学者が多く専門学校はあまり台湾で注目されていないということでした。台湾の中学や高校は、日本と同様に少子化が進んで来ているので、小さいところは大きな学校と合併することが普通で、どんどん一つの学校の規模が大きくなっているということでした。
熊本YMCA校長の中村先生の紹介で台湾のYMCAを訪問しました。YMCA台湾のシン様にお話を伺いましたが、日本を含めての留学プログラムを持ち、たくさんの国へ留学生を送っておられるとのことでした。また日台YMCAのワークショップを開催したり、日本への留学事業では、春・秋の年2回日本留学の説明会を行い、参加者は200名ほどいるとのことでした。
ACD留学センターやUF JAPAN、日学棺留学中心などの留学生を送りだす機関を訪問しました。台湾はTSMCの進出もあり、くまモンも有名で、熊本への関心は盛り上がりを見せています。ただ台湾では高校進学率は98%、大学進学率も90%以上に上り、修士課程、博士課程への進学者も多い中、日本の専門学校への留学熱は、それほど高いとは言えません。大学卒業後に特定の技術を身につけたり、観光を兼ねて熊本に暮らしてみたいという若者はいますが、専門学校へ長期に亘って留学しようというニーズはあまり高くないように感じられます。
そこで台湾からの留学生を増やすには、以下の二つのプログラムが功を奏するのではないかと思われます。
①短期留学プログラム
台湾人は観光ビザで留学生1~3か月未満の短期間で熊本県にきて、滞在しながら日本語 および日本文化について学習するプログラム。
平日は、日本語や日本文化と観光・宿泊分野を学び、週末は、周辺地域の観光にも訪れます。地域への経済的な波及効果が高いと予想されます。
この受入れを、専門学校が中心となり、プログラム作成、日本語授業を提供する。同様のことが、北海道東川町立の日本語学校で開催されており、熊本県でのニーズは高いと考えられます。
この北海道に行っておられる新高通顧問株式会社の富田様にリモートで話を聞きました。
②台湾大学とのインターンシッププログラム
台湾の大学の観光学部では、台湾学生を日本の観光業、宿泊業へインターンシップするニーズがあります。観光ビザで留学生1~2か月、短期間で熊本県にきて、ホテルや旅館にインターンシップで働きながら現場を学び、IT分野、宿泊分野及び日本語を学ぶというプログラムの策定を計画します。単位認定のインターンシップになるので、専門学校が中心となり受け入れていきます。熊本県でのニーズは高いと考えられます。
熊本YMCAでは、2017年から6名の台湾からの若者を約1カ月受入れ、YMCA阿蘇キャンプにて宿泊業、キャンプなどのインターンシッププログラムを行っています。交流や文化体験などのプログラムも行っています。
肥後銀行台湾支所を訪問し、支所の所長本島知明様とシニアアドバイザーの林成蔚様からお話を伺いました。それによると台湾では、超少子高齢化社会への進行が日本を上回るスピードで加速化しているとのこと。台湾は日本以上の学歴社会で、修士号、博士号を持っている人が多く博士号を持っていれば手当てがつく、ということもあります。
ターゲット国の中で、台湾はモンゴル、ミャンマーとは違う社会です。1人当たりのGDPは日本を追い越しており、国内旅行より、日本旅行に行く方が安いという事実もあります。
日本に行って苦学で勉強する時代から、日本は遊びに行くところという意識の変化もあります。台湾人が日本で働きたい理由は、将来のキャリアアップのために日本での仕事体験・学習したいということでもあります。
今後は2025年に台湾熊本留学フェアを開催し、情報発信をしていきたいと思っています。
趣旨は、熊本県の専門学校を広く国外に発信し、より多くの外国人留学生が熊本県を留学先として認知してもらうために、台湾内で、熊本県留学フェアを開催し、個別説明などを行うというものです。
私自身台湾への訪問は初めてでしたが、台湾は大都会でした。台湾の一人当たりのGDPは円安が背景にあるとはいえ、日本を超え、毎年3%の伸びを示しており好調です。そのような下知識を持って行った台湾は、最初に訪ねた首都台北も二番目の都市の台中も活気がある都会でした。
印象的だったのは、お訪ねしたYMCA、日本語学校、中高等学校でも肥後銀行台北駐在員事務所でも、台湾はとにかく進学熱が高いと口を揃えておっしゃったことでした。進学率は高校が90%後半、大学も90%を超えています。
そんな中で日本の専門学校がどれだけ注目を集めるのか、どちらかと言えば日本に留学する理由も大学や大学院進学が主なので、専門学校の入る余地はそれほど大きくはありません。ターゲット国3国の中で、台湾には特別な企画を練る必要があります。ただ日本語は高校では第二外国語で、全員が取る必修授業なので、日本語を学びたいというニーズは確かにあります。
そこで、熊本に留学生を増やすには、やはり短期留学に絞っての企画をする必要があると感じました。TSMCの進出で熊本の知名度は上がり、熊本に行きたいという台湾の若者も一定数いるようです。知名度を上げるフェアではなく短期留学の案内まで十分に練ったうえでその企画に誘導するフェアの開催が功を奏するのではないかと思います。